世界遺産の種類

世界遺産は大きく三種類に分類されています。
文化遺産
顕著な普遍的価値をもつ建築物や遺跡など。
自然遺産
顕著な普遍的価値をもつ地形や生物、景観などをもつ地域。
複合遺産
文化と自然の両方について、顕著な普遍的価値を兼ね備えるもの。
これ以外に、後世に残すことが難しくなっていたり、なりそうな物件は、危機にさらされている世界遺産リスト(危機遺産リスト)に加えられ、保存や修復のための配慮がされる事になっています。
世界遺産の登録基準
世界遺産の登録基準は、10項目に整理されています。
- 人類の創造的な才能を表現する傑作。
- ある期間を通じてまたはある文化圏において建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- 現存するかまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
- 人類の歴史上重要な時代を代表する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
- 特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている、ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落または土地利用の際立った例。
- 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と、直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
- ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
- 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには、生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
- 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において、進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
- 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。
基準1〜6が適用された物件が文化遺産、基準7〜10が適用された物件が自然遺産、両方の基準をそれぞれ1つ以上適用された物件が複合遺産となっています。
負の世界遺産
戦争や人種差別など人類の犯した罪を証明するような物件も世界遺産に登録されています。
これらは、別名「負の世界遺産(負の遺産)」と呼ばれることがあります。
負の遺産としてよくあげられるのは、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所、原爆ドーム、奴隷貿易の拠点であったゴレ島、マンデラ大統領が幽閉された島ロベン島などです。
ターリバーン政権によって破壊されたバーミヤン遺跡も、負の遺産のようにみなされたりしますね。
暫定リスト
暫定リストとは、世界遺産登録のために各国がユネスコ世界遺産センターに提出するリストのことです。
文化遺産については、このリストに掲載されていないものを世界遺産委員会に登録推薦することは認められないのが原則です。
保全活動と地元住民の生活の対立

世界遺産に登録された物件は、景観や環境の保全が義務付けられます。
そのため、周辺の開発と相反することとなって、問題が生じることもあります。
ドイツのケルン大聖堂は、世界最大のゴシック建築ですが、周辺に高層建築計画があって景観の危機にさらされて、2004年には危機遺産に指定されました。
市当局は高さ規制などの努力をおこなって、危機遺産の指定の解除をとりつけました。
日本でも、熊野古道が登録されて保全しなければいけないために、農業や林業ができなくなったという話もありましたね。
知床も登録されましたが、その地域の海で生計を立てている人には迷惑な話でしょう。
ドイツ、ドレスデンのエルベ渓谷では、地元住民は世界遺産よりも渋滞緩和のための橋の建設を優先してほしいようなのですが、保全義務のために工事が遅れていて、世界遺産からの抹消が検討されているそうです。
観光地化による問題

世界遺産に登録されると、とたんに世間の注目をあびて観光客が殺到することがあります。
白川郷では、登録前後で観光客数が2〜3倍にもなりました。
このこと自体は悪いことではありませんが、白川郷の場合、現在一般人が住んでいる合掌造りの民家が含まれています。
当然、日々生活しているわけです。
そこへ、「世界遺産なんだから、見てもいいんだ」といったような間違った見解をもった観光客が訪れて、住民のプライバシーに遠慮せずに写真をとったり家をのぞいたりしてトラブルになったりしています。
世界遺産に登録されることで観光客を呼び込もうとする動きがあったりする一方、観光地が登録されたことで必要な開発ができなくなって困るという懸念もあります。
富士山では、観光開発が制限されるとして地元住民の反対がおこりました。
世界遺産は保全が目的であり、観光を促進する趣旨ではありません。
現に、世界遺産登録によって観光上の開発が制限されている地域は多いですし、中には観光客は立ち入り禁止になっているところも、オーストラリアのマッコーリー島などたくさんあります。
世界遺産登録地の観光での注意点
世界遺産に登録されているところへ観光に訪れることがあると思いますが、その際には注意すべき点があります。
地元住民は必ずしも登録に賛成しているわけではなく、迷惑に思っている場合も多いということ。
その場合、観光客に対して良くない感情を持っている場合があります。
保全のための登録であって、観光客のためのものではありません。
登録されて観光客が増え、自然が破壊されたり、建築物に落書きされたり、ゴミを不法投棄したりなどは論外です。
これらは観光客自身のモラルの問題ですので、旅行の際には配慮したいことですよね。
また、世界遺産に登録されているところ以外でも、当然考えなければならない問題でもあります。
何も取らない、何も残さない、自分が訪れた痕跡を残さないというのが大切だと思います。
(08/12/06)
前の記事 南極の雑学 に戻る
この記事の更新状況
(08/12/06)掲載






